薬剤師が転職活動を行う際には様々な方法がありますが、その中で欠かせない手段に転職エージェントの活用があります。
なぜ転職エージェントが薬剤師の転職に効果的なのか、一方で転職エージェントのデメリットはどのようなことが挙げられるのか、また、転職を成功に導くために薬剤師が転職エージェントを利用する際に注意しなければいけないポイントなどを解説します。
そもそも転職エージェントとは?そのビジネスモデルを解説
転職エージェント(人材紹介業)は、募集する企業と転職希望者をマッチングさせるビジネスです。
企業と転職希望者を結びつけるという点ではハローワークと同様に感じられる方もいるでしょう。しかし大きく異なるのは人材紹介業が、紹介手数料を受け取っている、ということです。
具体的に説明すると、募集企業がエージェント経由で紹介した登録者が入社すると、その登録者の初年度の年収の何割か(20~35%と幅広い)の手数料をエージェントに支払う、というシステムとなっています。
自分のペースで転職活動をしたり、自由に何社でも応募をしたい場合は薬剤師転職サイトおすすめから選ぶとよいでしょう。
薬剤師が転職エージェントを活用するメリット
転職エージェントは転職希望者に案件の紹介を行うだけではなく、様々なサービスを提供します。薬剤師が転職活動を行う際に転職エージェントを利用する際のメリットを紹介します。
薬剤師の転職市場の状況が把握できる
転職エージェントに登録すれば、日々変化する転職市場の状況、募集している調剤薬局や病院、企業の内部情報、どのようなスキルやキャリアが転職に有利なのか、といった多種多様な情報を知ることができます。
転職エージェントはハローワークや転職サイトをはじめとした求人広告では知ることができない情報も有していますので、きっと転職活動の参考になるでしょう。
複数案件の選考を進める際に選考スピードを調整してくれる
転職希望者が複数の案件に応募する際、出来る限り同じタイミングで選考を進めたいものです。しかしそれぞれの案件の選考スピードやプロセスは異なります。
自己応募で活動を行うと選考スケジュールを思うように進めることが難しく、時には本命の案件より志望度の低い(しかし二番手として辞退したくない)案件の選考が先に進んでしまうこともあります。
もしエージェントから複数案件に応募すれば、エージェントが面接の日程調整のサポートしてくれます。複数の案件の選考を同じタイミングで進めることも可能です。
面接対策を行ってくれる
面接は面接官が変わると傾向が変わりますし一次面接と最終面接では同じポイントで選考しないということもあります。実際、面接は受けてみないとどういった内容か分からないのですが、転職エージェント経由の選考であれば面接の情報を事前に知ることができますし、希望すれば模擬面接なども行ってもらえます。
転職慣れしていない、また、面接慣れしていない薬剤師には大きな支えとなるでしょう。
待遇面、入職日の交渉を行ってくれる
選考が最終段階に進んだ際、選考側から給与に関する打診や提示があります。転職希望者にとって給与金額はとても重要なことですが、金額の交渉を直接行うことは難しく、中にはたとえ希望の給与額ではなくても合格したいために受諾してしまう、という方もいます。
転職エージェントを利用すれば、本意な給与額の提示があっても先方と給与の交渉を行ってもらえます。
また、選考が合格しても、さらに内定が出ても、応募者が選考する側の希望するスケジュールで入職できない(就業中の方が引継ぎで時間がかかり短期間で退職できないなどの理由)と、内定が出なかったり内定取り消しになる可能性もあります。このような場合でも転職エージェントは間に入り、お互いの希望するスケジュールの「落としどころ」を見つけてくれるはずです。
転職エージェントのデメリット
薬剤師の転職活用に有効な転職エ-ジェントですが、メリットだけではなくデメリットもあるということを忘れてはいけません。
キャリアコンサルタントとの相性によって転職活動の成否が変わる
転職情報の提供や、応募者の代理人となって求人側と交渉を行うのはキャリアコンサルタント(や担当営業)となりますが、キャリアコンサルタントは「転職活動のプロ」ではあると同時に人間です。どうしても登録者と「合う、合わない」が発生します。
もし「合わない」コンサルタントが担当することになれば思うような転職活動を進めることができないかもしれません。転職活動はセンシティブです。大切なパートナーであるキャリアコンサルタントとの相性は大切です。
登録者の意向と異なる進め方をされることもある
前述しましたが、転職エージェントは慈善事業ではなく「ビジネス」です。
紹介した登録者の転職が決定した場合、年収が高ければ高いほど高い手数料をエージェントは得ることができます。ですので、もしある登録者が同時に進めている案件のうち、一方の案件が他方の案件より非常に高い金額の給与提示をした場合、応募者が希望していなくてもエージェントは高い給与の案件を推してくるかもしれません。
また、キャリアコンサルタントはある意味「営業」です。目標数字が設定され達成のために活動しています。選考が進んでいた登録者が月末や期末、年末などの時期に内定が出た場合、目標を達成するために早期の決断を迫るなど強引に話を進めてくる可能性もあります。
案件がないと連絡がない
基本的に転職エージェントは案件ありきで登録者に連絡をとります。ですので「転職エージェント市場」において市場価値があまり高くないと判断された登録者に対してエージェントから連絡することはありませんし、積極的に案件を探してくれる、ということもありません。
時間がかかる
転職エージェント経由で選考を進めると、間にエージェントが入っている分調整に時間がかかってしまいます。急いで話を進めたい、選考側と連絡を取りたい、という場合でも微妙なタイムラグが発生してしまいます。それぞれは微妙なタイムラグかもしれませんが、積み重なると大きなタイムロスになる可能性もあります。
薬剤師が転職エージェントを利用する際の注意点
次は薬剤師が転職エージェントを有効活用するために押さえなければいけない、注意しなければいけないポイントです。転職活動を成功させるためには必須のポイントです。
複数のエージェントに登録する
時間や手間がかかりますが、数社の転職エージェントに登録してください。エージェントの比較をすることによって自身に「合う」エージェントを選択できる、複数の情報源を持つことによって客観的に状況を判断できる、エージェント独自の案件情報を漏らさない、といった理由のためです。
転職の希望をはっきりと伝える
転職の希望は細かくキャリアコンサルタントに伝えましょう。給与、仕事内容、勤務地、休日休暇、など、転職に関する様々な条件の具体的な希望、さらに希望の優先順位がキャリアコンサルタントに伝わらないと自身の希望と異なる案件を紹介されます。そうなると転職エージェントを利用する意味がないですし、時間も労力も無駄になります。
コミュニケーションはしっかりとる
キャリアコンサルタントとコミュニケ―ションをしっかりととることは重要です。社会人としてのコミュニケーションが取れない登録者はキャリアコンサルタントから信頼されません。信頼されないと力になってもらえませんし、案件の紹介を受けることもないでしょう。
転職エージェントを利用して転職活動を成功させるにはキャリアコンサルタントと信頼関係を築かなければいけません。
薬剤師におすすめの転職エージェント
現在、多数の転職エージェントが存在しますが、その中で薬剤師に特におすすめの転職エージェントを厳選して紹介します。
リクナビ薬剤師の評判~非公開求人が多く高収入ステップアップ転職が可能
薬剤師としてキャリアを積んで、ステップアップしたいと考えている薬剤師さんであれば、転職エージェント「リクナビ薬剤師」のことが気になっている人もおられるのではないでしょうか。
他にも大手転職エージェントは存在しますが
「ステップアップして条件の良い職場に転職したい」
「すぐにでも転職して働きたい」
という人にとても評判のいい転職エージェントですから、登録したいと考えている人が数多くおられます。
ここでは実際にリクナビ薬剤師に登録してみた人の口コミや評判を集め、信用できる転職エージェントなのかどうかお伝えします。そしてどのような人が登録すべきなのかどうか、検証してみました。
自分自身の希望にぴったり当てはまっているという人であれば、転職を成功させることができる第一歩となるでしょう。
リクナビ薬剤師の口コミ評判から分かったメリット
- 薬剤師求人の数が圧倒的に多い
- 高収入の求人を探すことができる
- コンサルタントのサポート力が高い
- 条件にあった求人を見つけることができる
「リクナビ薬剤師」は、大手薬剤師転職エージェントの中でも独自の特徴を持っています。人材会社最大手のリクルートが運営しているサイトですから、評判もかなり高いものになっています。 実際の口コミ評判からわかったメリットについてお伝えします
薬剤師求人の数が圧倒的に多い
リクナビ薬剤師の一番の特徴といえば「人材紹介最大手のリクルートが運営する薬剤師転職エージェント」であるといえます。公式サイトをご覧になった方も、「転職支援実績トップクラス」という触れ込みが気になった方がおられるでしょう。
リクルートはもともと薬剤師転職だけではなく、人材紹介に特化して実績を積み重ねてきた企業です。それは一般企業においても認めているところであり、信頼の高さは言うまでもなくトップレベルであると言っていいでしょう。
企業からの信頼度がトップレベルであるということは、企業からすれば良い人材を紹介してもらえるということが背景に存在します。だからこそ人材難と言われる時代に、リクルートのような存在がとても大事なのです。
求人数については、実際に利用してみた口コミ評判を調べてみても、かなり幅広い求人に触れることができたというものを多く見かけることができました。特にハローワークやほかの転職エージェントでは見つけることができなかった非公開求人についても多数紹介してもらえたことは高評価に繋がっています。
幅広い求人を紹介してもらいたい、自分のスキルに合わせてステップアップしたいという人であれば、リクナビ薬剤師で非公開求人を紹介してもらうといいでしょう。
高収入の求人を探すことができる
現在薬剤師として働いている人の中には、今後の自分自身のステップアップについて考えている人が多いのではないでしょうか。ステップアップするには現在の職場ではなく転職して、と考えている人も少なくないでしょう。
特にリクナビ薬剤師は信頼度と実績を実績を積み重ねてきたエージェントですので、かなり豊富な高収入求人を登録しているのです。
特に新卒から働き続けている職場では、給料が低く、与えられている業務においても専門性がなく、これ以上のステップアップを描くことができないという薬剤師さんが多くおられます。
自分自身の現在のスキルと比べ、薬剤師としての一般的な年収を見たときにあまりに低いと感じるのであれば、登録しておいて必ず良い結果があられる転職エージェントです。
実際に登録したときに、あなたの条件やスキルを加味しながらコンサルタントが丁寧に対応しますので、条件のいい求人を紹介してもらうことが可能です。これは大きなメリットであるといえるでしょう。
コンサルタントのサポート力が高い
リクナビ薬剤師は人材紹介に特化して実績を積み重ねてきましたので、コンサルタントの力量もかなり優秀であるといえます。
ある意味、転職エージェントに登録して転職を成功させるには、コンサルタントのサポート力が必要になってきます。この点、大手リクルートが運営しているということで、安心してサポートを受けることができるでしょう。
登録するとかなり迅速に求人を紹介してくれると評判になっており、登録後に面談してすぐに何社からの求人の紹介をしてもらえたという口コミを多数見つけることができました。
サポートを受けながら、早期に転職を決めたい人であれば登録してみることをオススメします。
条件にあった求人を見つけることができる
リクナビ薬剤師の求人の特徴としては、求人量の豊富さと幅広さであるといえます。冒頭からお伝えしている通り、リクルートが運営している転職エージェントですので、非公開求人も多数取り扱いされているのです。
口コミを調べてみると「自分の条件に合う求人を紹介してもらうことができた」というかなり満足のいく内容のものも見つけることができました。さらに現在すでに薬剤師として働いている人で、ステップアップを考えている人の中には「自分のスキルに合った求人を紹介してもらえました」という口コミも多数見かけます。
納得いくサポートの中で、良い転職ができたイメージを持つことができます。この転職の中で自分自身のこだわりがあるという人であれば、間違いなくオススメできる転職エージェントです。
リクナビ薬剤師の口コミ評判から分かったデメリット
- 病院の求人は弱め
- コンサルタントの連絡が多すぎる
- 派遣求人はほとんど見かけない
リクナビ薬剤師を実際に利用した人の口コミ評判から分かったデメリットは上記の通りです。 実際に口コミ評判にあったものは、どのような内容なのか見ていきましょう。
病院の求人は弱め
リクナビ薬剤師を登録した人の中には、
「病院の求人が少ない」
というものが多くありました。
そもそもリクナビ薬剤師を運営するは、人材紹介で実績を重ねてきた転職エージェントですので、大手ではありますが病院よりも一般企業に強いイメージが強いです。
薬剤師転職に特化した転職エージェントと比べるとやはり病院の求人数に差が出てしまいます。薬剤師として活躍できるさまざまな求人を比較したいという人であれば、「薬キャリ」のような大手の薬剤師転職エージェントに登録することをオススメします。
リクナビ薬剤師は、正職員としての転職に特化した転職エージェントですので、派遣求人に関しては取り扱いされていません。
もしも家庭の事情などで正職員として働くことが難しい人であれば、こちらに登録することはオススメできません。
もしも派遣求人にこだわりたいという人であれば「ファル・メイト」のように、派遣求人紹介に特化した転職エージェントに登録することをオススメします。かなり高時給の求人も登録されていますし、こだわりの条件で求人を紹介してもらうことができます。
リクナビ薬剤師に登録をオススメできる人とは
メリットとデメリットを確認してみれば、自分自身に合う転職エージェントなのかどうか判断できたのではないでしょうか。
ここではリクナビ薬剤師に登録をオススメできる人についてお伝えします。
転職してステップアップしたい人
この転職においてステップアップを考えているという人であれば、幅広い求人から自分に合った求人を探すことがいいでしょう。ほかの転職エージェントに登録されていない求人を紹介してほしいというにはリクナビ薬剤師がぴったりです。
「業務内容」「給料」など、スキルを高めるためにステップアップ転職を希望している人であれば、リクナビ薬剤師のサポートを受けながら、希望に沿った求人を探すことが可能です。
非公開求人も数多く登録されていますから、ほかの転職エージェントでは見つけることのできなかった好待遇の求人を紹介してもらうことも可能です。
かなり条件がよいために非公開にしているという求人も数多くありますので、転職を成功させる第一歩であるといえるでしょう。
すぐに転職したい人
正職員として働きたいけれども、できるだけ早く転職したいという人にはオススメです。求人数についてはかなり豊富であるといえるエージェントであり、コンサルタントのサポート力も優れています。
コンサルタントの対応がかなり迅速であると評判にもなっており、面談してすぐに求人を紹介してもらい、転職することができたという人も少なくありません。
実際に紹介される求人数においても、他の転職エージェントよりも多いことが分かっています。しかも条件にあった求人を紹介してもらえますので、これはとても頼りになるでしょう。
ただ単に求人を紹介されるだけではなく、しっかりとしたサポートも受けることができますから、早期に良い職場で働きたい人には大きなメリットであるといえます。
薬キャリ
医療総合サイト「m3.com」を運営しているエムスリーが母体の転職エージェントです。大きな特徴としては「多数の薬剤師の求人がある」ことが挙げられます。「m3.com」には薬剤師をはじめ多くの医療従事者が最先端の医療情報収集のために登録しています。
そのm3.comを運営しているエムスリーに対する医療関係者やメディカル系の企業の信頼は高く、薬キャリにも安心して求人を依頼します。結果的に数多くの良質な求人案件が集まるのです。
ファーマキャリア
ファーマキャリアは、「薬剤師専門のオーダーメイド求人」をサービスとして提供している転職エージェントです。基本的に転職エージェントは依頼のあった求人に登録者を紹介するため、登録者の希望の求人案件がなければ紹介を受けることが難しいのですが、ファーマキャリアは「登録者の希望を聞き、その希望に合致する案件を作り出す」ことを強みとしています。
案件を作り出すことができるのは、キャリアコンサルタントが優秀で提案力を持っているからです。ファーマキャリアに登録すればクオリティの高い転職サービスを受けることができるでしょう。
薬剤師が転職エージェントを使わないで良い3つのケース
薬剤師の転職において重要な役割を果たしている転職エージェントですが、中には自分で転職活動を行ったほうが良いケースもあります。
通勤面での利便性を重視して転職したい場合
薬剤師が仕事を探す際に年収や待遇に重きを置いた結果、想定よりも職場が遠くなってしまう事があります。自分が働きたい条件で勤務できている時には苦にならないとしても、子育てや介護などの必要が生じた事がきっかけで通勤時間が短い場所への転職を検討する事があり得ます。
自宅からなるべく近い医療機関への転職を考えている場合は、最寄りの薬局や病院のホームページや店舗内の掲示板に求人情報がないか探してみると良いでしょう。普段から利用している医療機関であれば、職場の雰囲気やそこで働くスタッフの様子も熟知できているため転職前に職場見学を行う必要がありません。
自分の足で探して自分の目で判断できる場合には、転職エージェントを通さずに希望通りの就職先を見つけることが可能です。
医療機関が転職エージェントの利用を控えている場合
先に解説した通り登録者が転職エージェントを経由して就職すると、登録者を採用した医療機関側が手数料を支払う必要があります。厚生労働省が2019年に行った調査によると、職業紹介の手数料が「経営上負担となっており、手数料等は高いと考える」と回答した事業所が69.2%に上りました。 参照元:000579094.pdf (mhlw.go.jp)
職業紹介事業者に支払う手数料が高いことに加えて、転職勧奨により早期離職してしまうという問題も発生しています。こうした事情から、採用コストを下げるために手数料や紹介料がかからないハローワークを中心に求人活動を行っている医療機関が存在すると考えられます。
薬剤師としてのスキルを存分に発揮したい、年収アップを狙いたい等の明確な転職理由がある場合には転職エージェントを活用するのが良いでしょう。しかし経営上の事情により転職サイトへの掲載を控えている医療機関がある可能性を考えると、すべての薬剤師にとって転職エージェントの利用が必要不可欠というわけではありません。
転職先を自分のペースでゆっくり見つけたい場合
転職エージェントを活用する事で様々な選択肢の中から、自分に最も合った転職先を見つける事が可能です。しかし場合によっては自分が希望するよりも早いペースで話が進んでしまい、じっくりと考える時間を持てないまま転職する羽目になる可能性があります。勧められたら断れないという性格の方は特にそうでしょう。
急ぎで転職したいわけではなく自分のペースで転職活動を行いたい方は、転職エージェントを使わない方が良いかもしれません。人の意見を聞くと自分の考えがブレてしまう傾向がある方も同様です。自分自身の性格と転職理由を比較考慮しながら、本当に必要だと感じた場合に転職エージェントを活用することができます。
まとめ
薬剤師の有効かつ必須の方法である転職エージェント。ただし転職活動を成功させるためには正しく活用しなければ意味がありません。
転職エージェントに登録する際にはデメリットやポイント、注意点を意識し、その上で転職のツールとして上手く利用しましょう。